消費者契約法を知る
消費者を救済する制度の代表には、クーリング・オフがあります。これは、一定期間内であれば、無条件で契約を一方的に解除することができる制度です。
クーリング・オフとは少し違いますが、消費者擁護を目的とした消費者契約法というものがあります。平成13年4月1日から施行されました。どの様なものかというと、消費者と事業者の間には、商品やサービスについての情報や知識、交渉においての経験についてかなりの“差”が存在します。この様な状況で、消費者に不利となるような行為が事業者にあった場合には、契約を取り消すことができるというものです。
「契約は対等であり、自由である」というのが民法の趣旨ですが、現実には上記のように格差が存在します。それでは消費者が不利な契約になってしまう恐れがあるので、消費者を保護するために、一定の場合に契約を取り消すことができることにしました。
消費者契約法は民法の特別法になりますので、民法に優先します。
消費者契約法の適応場面
では、どの様な行為が事業者にあれば契約を解除できるのでしょうか?
契約の勧誘に際して、以下の行為があった場合です。
- 不実告知があったとき
- 不利益事実の不告知があったとき
- 断定的判断の提供があったとき
- 不退去があったとき
- 監禁があったとき
それでは、具体的にそれぞれみてみましょう。
(1)不実告知があったとき
事業者が消費者を勧誘するときに、契約の重要事項について事実と違うことを伝え、その内容を信じて契約してしまった場合には、契約を取り消すことができます。
(2)不利益事実の不告知があったとき
事業者が消費者を勧誘するときに、重要事項について、消費者の利益となることを告げる一方で、不利益となることについてはわざと伝えずに隠しておき、消費者が不利益があることを知らずに契約した場合には、契約を取り消すことができます。
(3)断定的判断の提供があったとき
事業者が消費者を勧誘するときに、不確定要素であるにもかかわらず、確定的に伝えることで消費者を信用させ、それを信じた消費者が契約した場合には、契約を取り消すことができます。
(4)不退去があったとき
事業者が消費者宅等訪問して勧誘するときに、消費者が退去してほしい旨を伝えたにもかかわらず、居座り続け、それに困惑した消費者が契約をしてしまった場合には、契約を取り消すことができます。
(5)監禁があったとき
事業者が消費者を勧誘するときに、その場所から帰る意思を示しているのに妨害し、それに困惑した消費者が契約をしてしまった場合には、契約を取り消すことができます。
また、以下の場合には、契約のその部分については無効となります。これは、消費者の利益が一方的に害されるからです。
- 事業者の責任を免除するもの
- 遅延損害金のうち、年14.6パーセントを超えるもの
- 消費者の払う損害賠償額が、平均的なものを超える定め
消費者契約法による取り消しの注意点
上記の行為があったときには、消費者契約法により取り消すことができますが、いくつか注意点があります。
クーリング・オフ期間であればクーリング・オフを使う
クーリング・オフができる場合には、クーリング・オフをしましょう。クーリング・オフは理由を問わず、無条件で一方的に契約を解除できるので、便利です。
取り消しは内容証明で通知する
消費者契約法による取り消しを相手方に通知するときは、内容証明で通知しましょう。後々のトラブルを防ぐ意味でも、内容証明で証拠を残すべきです。
取り消し期間
契約を取り消すことができる期間は、追認することができるときから6箇月間です。つまり、事業者に不適切な行為があったことを知ったときから6箇月となります。
また、契約の時から5年が経過すると、取り消すことができなくなります。
最後に
消費者契約法の説明はいかがでしたか?少し難しい表現はありますが、一般常識で考えて、勧誘時に不当な行為が事業者にあれば、契約を取り消すことができると思ってください。
消費者契約法は、弱者である消費者を救うために制定されました。事業者による不当な契約をさせられたとしても、泣き寝入りせずに専門家に相談することをお勧めいたします。
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